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2020年2月12日水曜日

ベナン共和国のこと

年末年始にベナン共和国から一時帰国していたKさんの話を聞く機会があった。

Kさんは、ベナン共和国のビジネススクールで英語教師をして4か月になる31歳の“女の子”である。妙齢のLadyをつかまえて“女の子”とは失礼な、と言われるかもしれないが、その情熱、一本気、目的のためにどんどんと難問を解決していく姿を見ると、『魔女の宅急便』のキキを彷彿とさせるからなのである。

ベナン共和国は、ナイジェリアの西隣の国で、気候も国民性も穏やか、公用語は、フランス語なのだが、フランス語を理解できる人は、3割ほどとのこと。えっ?
つまり、学校に行けてない子が多いということになる。識字率は半分もいかないらしい。世界ランキングを載せているサイト(http://top10.sakura.ne.jp/index.html)によれば、識字率は42.4%。217国中208位。
自宅の目の前に小学校があっても、行っていない子もいるという話だった。

その上、彼女が教えている学校は「学位があっても就職先がない」というベナンの現状を打破するために起業のノウハウを教えるビジネススクール(授業はすべて英語)なのだが、ベナンでは、高等教育を受けても、それを活かせないという。
産業構造の問題なのだろうが、あまりに広大な問題過ぎて、私のわずかな人生経験からは、解決法の一つも浮かんでなどきはしない。亀のコウより年のコウ、というわけにはいかないのだが、彼女は若さのコウで、何かをしようと動き出していた。
がんばれ!応援するよ!!

ところで、彼女の話の中で、一番ショックだったことがある。日本という国でのんびり暮らしているとわからない現実だ。

海岸にプラスチックごみが散乱している写真を見せてくれた。
一瞬、こういうゴミの海岸風景は、どこでも同じだ、と思った。
しかし!
ベナンには、資源ごみの処理施設がなく、彼女の住んでいるコトヌ(実質的首都)では、プラゴミや資源ごみは海近くのゴミ置き場に捨てるしかない、という現実。
環境によくない、と分かっていても、そうせざるを得ない現実。
そして、割れたガラスの上を子供たちが裸足で歩き回っている、という現実。
そんな国は、プラスチックは使うな、などと言えない世界の生活の現実。

プラスチックごみ問題は、開発途上国では、先進国とはまったく違った様相で問題になっていた。

JICAの活動として井戸を掘ったりしているけれど、プラスチックごみの処理施設を作ることも考えてくれないだろうか、とか、日本の援助としてゴミ処理施設をつくってあげてもいいのではないか、と参加者の意見が出た。まさに!

開発途上国の実態は、現地に行った人しかわからないもの、とつくづく思う。
最近は、情報があふれかえっている、というのに。

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【ベナン共和国情報】外務省サイト 他
1.      面積 112,622平方キロメートル(日本の約3分の1
2.      人口 1,148万人(2018年,世銀)
3.      首都 ポルトノボ(Porto-Novo)。事実上の首都は海岸近くのコトヌ。
4.      民族 46部族
5.      言語 フランス語(公用語)
6.      宗教 イスラム教(27.7%),カトリック(25.5%),プロテスタント(13.5%),ブードゥー教(11.6%),その他キリスト教(9.5%),その他伝統的宗教(2.6%)
7.      政体 共和制
8.      元首 パトリス・タロン(Patrice Athanase Guillaume TALON)大統領(任期5年,次回選挙は2021年)
9.      主要産業 農業(綿花,パームオイル),サービス業(港湾業)
10.   対日貿易 対日輸出 1.90億円、対日輸入 10.42億円。日本からの進出企業 1社。
11.   一人当たりGNI 870米ドル(2018年,世銀)
12.   日本の援助実績(2017年度までの累積) 円借款37.62億円+無償資金協力421.97億円+技術協力88.68億円
13.   二国間関係 1960.8.1ベナン独立と同時に同国を承認。2010.1,コトヌに在ベナン日本大使館を開館
14.   在留邦人 104人(201710月現在)/在日当該国人数 92人(20186月現在)(八村塁NBA選手の父、ゾマホン・ルフィン元外交官、タレント他)
15.   2018年参議院議員団(3名。江島潔議員,堂故茂議員,蓮舫議員)がナイジェリア連邦共和国、コートジボワール共和国、ベナン共和国、フランス共和国訪問。




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