「交趾焼(こうちやき)」
華やかな色合いで細かい貫入の入る釉薬のかかった焼き物です。明代後期に中国で作られた三彩陶器です。
ベトナムのコーチシナ(交趾支那)との交趾貿易船でもたらされたことに由来する名前で、ベトナムの名前が使われていますが、実際の産地は中国福建省南部の漳州ということが最近分かったそうです。
日本では、江戸時代に京都から発展。京焼・清水焼を代表する技法としての交趾焼が有名になりました。茶の湯が江戸時代に入り、次第に華やかなものが好まれていった時代背景に合致したといえましょう。茶の湯はすべてわび茶、というわけではないこともなんとなく理解できますね。
成形された生地を素焼きまたは高温で焼き、次に交趾釉を施釉してから、低火度焼成して完成となるそうです。下絵で模様を作る技法として、 彫刻、盛り上げ、椎泥、イッチン、貼付け、線刻、泥化粧など。
黄交趾、紫交趾、緑交趾というように主に使われている色を付けて呼ばれます。
【言葉(参考)】
・椎泥:椎木(しいたき)の樹皮に含まれるタンニンを染料とする。
・一珍/一陳(イッチン):スポイト状の道具を使って盛り上げた線文や模様を描く。