「和敬清寂(わけいせいじゃく)」
「和敬清寂」は、裏千家では、四規(しき)といい、茶道の根本精神を要約したものです。利休居士が提唱し、江戸時代前期から一般化されたと言われています。
『和』:茶道のすべての基本。茶会では主客双方で心を合わせて茶会を良いものにするためにまず「和」の心が必要です。
『敬』:お互いに尊敬しあうこと。客は亭主にへつらわず、亭主は客に奢らず。互いの思いやりを忘れないように。
『清』:きよらか。目に見える清らかさだけでなく、心の中も清らかであるように。
『寂』:何物にも流されず、どんなときにも動じない心。
・『清』は『静(しずか)』ではないことに注意してください。
・『寂』は、なかなか難しい概念です。『侘び寂び(わびさび)』の『寂』の字です。『わび茶』は、珠光~紹鴎~利休の流れで完成されました。その美意識の根底が『侘び』と『寂び』です。『侘び』は『わぶ』の名詞形で、本来は「気落ちする、心細く思う」というようなマイナスイメージの言葉でしたが、中世になると、不完全/不足の美しさを表現する言葉となります。また、『寂び』は「さぶ」という動詞の名詞形で「古くなる・色あせる」など、やはりマイナスイメージの言葉でしたが、古くなったものが枯れていき、その中に奥深いものや華麗なものが現れるという美意識を表すようになります。折しも中世の「人生の真実を表面的な美しさよりも内面的な充実に求める」という仏教思想に影響され、能、連歌や茶の湯にも精神性が求められていきました。このことから、『寂』は、表面的な美しさ・豊かさより心の美しさ・豊かさを目指す言葉、と解釈されています。
(2025.2.6 補)
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