2025年2月21日金曜日

今日の軸:「冬嶺秀孤松」

 「冬嶺秀孤松(とうれい こしょう ひいず」

如月(2月)・大寒のときに利用されることが多い禅語です。

「ほとんどの樹木が葉を落としている冬の嶺(みね)で、独り青々と葉を残している松が際立っていること」という景色を表しています。
これを禅語として解釈すると、松を仏様の教えとし、どんなものにも惑わされず、煩わされないことを説いています。人の生き方でも、人の心を苦しめる煩悩や欲望に流されることなく、平然と堂々と凛として生きていきたいものです。
単なる景色を謳ったものとしてではなく、その中から人生の教訓を学び取る…なかなか難しいですね。

原典は、陶淵明(とうえんめい))『四時歌』から
 春水満四澤:春水(しゅんすい)四澤(したく)に満ち
 夏雲多奇峰:夏雲(かうん)奇峰(きほう)多し
 秋月揚明輝:秋月(しゅうげつ)明輝(めいき)を揚げ
 冬嶺秀孤松:冬嶺(とうれい)孤松(こしょう)秀(ひい)ず

春水満四澤は、春爛漫のときに使われることも多い禅語です。

余談です。マツ科の松はほとんどが常緑樹ですが、カラマツ(唐松、落葉松とも書く)は、珍しく葉を落とします。日本原産です。この詩にようにはいきませんが、黄色く紅葉し、芽吹きもとてもきれいです。「からまつの林を過ぎて、からまつをしみじみと見き。」で始まる北原白秋の詩は有名ですし、日本の風景画家として有名な東山魁夷は、落葉松を題材とした作品を数多く残しています。陶淵明が日本人だったら、この詩はどう変わったでしょうか…。

(2025.3.20 談・補)

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