2025年6月10日火曜日

花入:籠いろいろ

 花入(はないれ):籠いろいろ

華道のほうでは、花器(かき)とか花瓶ということが多いですが、お茶では『花入れ』の言葉をよく使います。

前にも書きましたが、3つの格があります。主に材質で分けられます。
金物や唐物青磁は『真』、釉薬のかかった陶磁器は『行』、 釉薬のかかっていない陶磁器や竹・籠などは『草』の格になります。ただし、竹で編んだ籠でも、唐物(中世の中国からの到来物)は『真』になります。

利休さまが花の入れ方として、
「花は野にあるやうに」
「小座敷の花は、かならず一色を一枝か二枝、かろくいけたるがよし。勿論、花によりてふわふわといけたるもよけれど、本意は景気をのみ好む心いや也。四畳半にも成りては、花により二色もゆるすべしとぞ。」
という言葉を遺されていらっしゃるので、四畳半以下の小間では「一種二枝」で究極の自然体をめざすことになります。

しかし、『草』の花入れの籠は、数種(奇数がいい)の草花をいれて使うこともあり、5月から10月の季節に使われます。

また、歴代のお家元のお好み物も数々あって、楽しいものがたくさんあります。
・宗全籠…久田宗全(江戸前期の茶人。晩年は三千家の長老格)の好みの置き籠。
     いろいろな好み(デザインが微妙に違う)のものがある。
・繭籠…淡々斎好。掛花入と置き花入がある。
・鮎籠…京都の桂川の鮎漁に用いたといわれる。掛花入
・鶴首籠…玄々斎好、鵬雲斎好など。置き籠
・蝉籠…久田宗全好。床柱に掛けた姿が蝉が木に止まっているように見えるから。
・有馬籠…豊臣秀吉が有馬温泉で茶会を開いたときに、千利休が魅せられ愛用し始めた。
・鉈の鞘籠/鉈籠…利休所持。薮内家伝来が有名。鉈の鞘(さや)の形。掛け花入
・清澄(せいすみ)籠…置花入
・末広籠…玄々斎好。切箔押黒塗の受け筒が添っていて、この筒だけでも花入になり、
     梶の葉を蓋代わりにして水指に用いる。
・三友籠…淡々斎好。『雪月花』の友=自然の美しさを愛でる、という茶道の心を表す。
・魚籠(びく)…利休所持。千利休が魚籠を花入に見立てた、あるいは、
     唐物籠を写し、小さな耳をつけたのではないかともいわれるす。
・桂籠/桂川籠…利休が京都の桂川で出会った漁夫の魚籠(びく)を花入にした。
     利休⇒小庵⇒宗旦⇒山田宗徧 のものが有名。
・宝山籠…置き花入
・瓢(ひさご )籠…置き花入、掛け花入
・粽(ちまき)籠…置き花入、掛け花入
・楓籠…利休好、即中斎好、禄々好
・方円籠…則中斎好。置き籠
・鵜籠…鵜飼漁で鵜を収めるために使われる籠を見立て。置き花入。
・網代籠…置き花入
・虫籠…千宗旦が見立て。鈴虫を入れて口栓をし鳴声を楽しむための小形の虫取籠。
     立鼓籠
・加茂川籠…又玅斎好、掛け花入
・立鼓籠…一燈好。鼓(つづみ)の形。置き花入

参考:
(2025.5.27 補)

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