2025年6月11日水曜日

今日の軸:「千年翠」

今日の軸:「千年翠(せんねんのみどり)」

この場合の翠は、松の木をあらわし、長寿をお祝いする席などで使われる言葉です。

が!

禅語では、『松樹千年翠 不入時人意』と続いています。
この対句の部分は『ときのひとにいらず』と読み、『ときのひと』つまり『世の中で注目される人』には入らない⇒世の中で目立たない人⇒注目されていない、となります。

で、どうなるか、と言うと…

松の木は、千年(長い時間のこと)の時を経ても、変わらず緑を保っているが、人々はその背景にある目立たない地道な努力があることを、見逃してはならない、という意味です。

『松柏千年靑』も同じ意味です。こちらのほうが先らしい(?)。

もともとは、南宋時代の禅僧・石田法薫(1171~1245)の法語であり、禅語集『続伝灯録』には

松柏千年靑  松柏(しょうはく) 千年(せんねん)の 青(あお) 
不入時人意  時人(じじん)の 意(い)に 入(い)らず
牡丹一日紅  牡丹(ぼたん) 一日(いちじつ)の 紅(くれない)
滿城公子醉  満城(まんじょう)の 公子(こうし) 酔(よ)

とあります。後半の『牡丹云々』は、『牡丹のような一日しか咲かない紅の(華美な)花には、城の中の貴人の誰もが心奪われる』となりますが…

だから、何を言いたいのかな?

禅語の意味するところは、難しいの一言につきます。私たちは禅の修行をしていませんから、悟りを開いた禅のお坊さまたちの解釈を聞くに限ります。

今回の『松樹千年翠』で感じ入った解説は、
「この禅語は、千年の寿を寿ぐだけの言葉ではありません。時の長さではないのです。どのような時にも驕らず、屈せず、ただひたすら自分の道を行く、変わらぬ道心を讃える言葉です。・・・どんなことであっても、大切なのは、次の一歩。この次の一歩を全身全霊で続けることが、千年の寿に相応しいことだ、千年の寿に負けない大切な修行の魂なのだ、ということを言っているのです。」
というお坊様の言葉でした。

参考:
https://note.com/myoukishuken/n/n3454ae06c3c7

(2025.6.10 補)


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